栗きんとんの意味とは?なぜ、お正月に食べるお節に欠かせないのか

栗金団

お正月に食べるお節料理に欠かせない「栗きんとん」。実はとても縁起の良いとされている食べ物なのです。縁起物の「栗きんとん」がもつ意味についてご紹介します。

そして、今回はもう1つ別の「栗きんとん」と呼ばれる食べ物についてもご紹介したいと思います。

お節に欠かせない「栗きんとん」はどんな食べ物?

栗きんとん 意味

栗きんとんは、日本の伝統的な和菓子の一つで、主に砂糖と餡子(あんこ)で煮た栗をつかったお菓子です。

きんとんは、もともとは黄金色に見えることから「きんとう」と呼ばれていましたが、やがて「きんとん」という名前に変わりました。

お正月にお節料理として栗きんとんが欠かせない理由は、栗きんとんの色と形が縁起が良いとされているからです。栗きんとんは、黄金色をしていて、金運を引き寄せるとされています。

また、栗の形は子孫繁栄を象徴しているとされており、お正月に家族で食べることで、その年の家族の健康や子孫繁栄を祈る意味が込められています。

さらに、栗きんとんは保存性が高く、お正月に向けて準備をすることができるのも、お節料理として重宝される理由の一つです。

「栗きんとん」は、甘く煮た栗に甘い餡をまとわせた食べ物で、漢字では「栗金団」と書きます。「団」は団子とか布団という意味です。

「栗きんとん」は正月に食べられることが多く、お節料理では壱の重に入れられますが、今日のような形になったのは明治時代ごろと言われ、思いのほか歴史は長くありません。

それまでは、後項でご紹介するもう1つの「栗きんとん」が食されていたようです。

現在の「栗きんとん」の餡の素材にはいくつかの種類があります。栗で作る餡は高価なので、一般的に用いられているのがサツマイモです。

サツマイモだけでも黄色くなりますが、より鮮やかな色を出すため、クチナシを用いることも少なくありません。

黄色いサツマイモだけでなく、紅芋や紫芋を用いた濃い色の餡をまとった栗きんとんもあります。

「栗きんとん」の持つ意味とは

お節料理には、縁起が良いとされる食べ物が多くあります。

子孫繁栄を願う「数の子」、「喜ぶ」に通じる「昆布巻き」、マメで勤勉に暮らせるように願う「黒豆」などがそうですが、「栗きんとん」にも縁起の良い2つの意味があります。

栗きんとんの持つ意味①「勝負運」

「栗きんとん」の1つ目の意味は「勝負運の向上」です。栗は「勝ち栗」という言葉があるように、何事にも打ち勝つ縁起の良い食べ物として古くから好まれてきました。

武士が出陣する際や勝利の祝いの席に出される食べ物の1つにもなっていたとのことです。

これにならってお節料理に入れられる栗きんとんも勝負運が上向きになるように、との願いが込められています。

栗きんとんの持つ意味②「金運」

「栗きんとん」のもう1つの意味は「金運アップ」です。

黄色い栗きんとんの色が金塊や小判に見立てられ、金運や財運のアップ、商売繫盛や家運隆盛などの意味を持つようになりました。

3.有名な栗きんとん(金団)について

お正月の前後にはスーパーなどでよく見かける栗きんとんですが、それ以外の時期にはなかなか見つけることができません。

ですが、「栗鹿の子(くりかのこ)」という言葉で検索すると通販などで入手できますし、デパートなどでも缶詰などで売られていてほぼ1年中購入することができます。

長野県の小布施町は栗の産地として知られ、有名な栗菓子のメーカーがいくつかあります。

代表格が小布施堂と竹風堂で、前者は「栗鹿ノ子」、後者は「栗かの子」の商品名で栗きんとんを販売しています。

4.もう1つの「栗きんとん」について

「栗きんとん」と検索すると、上に紹介した、甘い餡をまとった栗の他に、甘い栗を裏ごしして茶巾型に絞った和菓子がヒットすることがあります。

こちらの「栗きんとん」は「栗金飩」と表記され、前項でご紹介した「栗きんとん」とは別の食べ物として認識されています。

京都では「栗茶巾」と呼ばれていますが、岐阜県では「栗きんとん」と呼ばれています。こちらの栗きんとんは缶詰にできないので、長期保存時には冷凍にされています。

中津川市の栗きんとんについて

栗の産地として名高い岐阜県の中津川市では、こちらの「栗きんとん」の発祥地を標榜していて、町内50軒以上の和菓子処で栗きんとんを製造しています。

「栗きんとん本家すや」「川上屋」「新杵堂」「松月堂」といった老舗、有名店があり、市内の特産館では有名店の栗きんとん食べ比べセットなども販売されています。

最後に

このように、「栗きんとん」というと2つのタイプの食べ物があるのですが、お節料理に用いられる「栗金団」の方には2つの縁起の良い意味があることがお分かりいただけたことと思います。

意味を理解して食べれば味わいもまた違ったものになることでしょう。