昼寝と言えばスペインの「シエスタ」が有名ですが、ベトナムにも独自の昼寝文化が根付いています。
ベトナムではお昼時になると店先や路上はもちろん、木にハンモックをぶら下げて寝ている人などを目にします。
今回の記事では日本人からしたら、うらやましいベトナムの昼寝文化について簡単に紹介します。
1.社会人でも昼寝ができる!?ベトナムの昼寝文化とは?
ベトナムのほとんどの企業では、昼休みが長く設定されています。日本の感覚からすると午後12時から午後1時までの1時間が妥当なところですが、ベトナムでは1時間半の昼休みが一般的です。
昼食で30分、昼寝で1時間といった時間計算です。もちろん昼寝のために長く設定された昼休みですが、その間は好きなことをすることができます。
ベトナム人にはなぜこのような昼寝の習慣があるのか、不思議に思われるかもしれません。
ベトナムは数千年前から農業国であり、国民の大半が畑で働く農民でした。農民としては、昼間に南国の太陽の下で体を晒したくはありません。
また、農民にとって昼の食事は、午後からのエネルギーを蓄えるために必要なものであり、その後、仕事に戻るには時間がかかるかもしれません。
そのため、昼食をしっかりとってから昼寝をすることで、南国の日差しを避け、エネルギーを回復し、リフレッシュして午後に備えようというわけです。
実は、20年前、まだベトナムが世界に開かれていなかった頃、政府や国営企業で働く人々は、午前11時から午後1時までの2時間、昼食をとり、家に帰ってゆっくり昼寝をすることができました。
昼寝が文化であることを知れば、ベトナムで昼休みにオフィスで寝ている人に出会っても驚かないはずです。
GoogleやNike、Zapposのような企業も昼寝の効果を認めており、推奨しています。もし20分の昼寝で午後の生産性が向上するならば、そしてスペイン人が昼寝をするならば、ベトナム人にとっても昼寝は当たり前のことなのでしょう。
ゆっくりとランチをしたり、ゲームをしたり、新聞を読んだり、ネットサーフィンをしたり、昼寝したりと時間の使い方も人それぞれです。
この昼寝文化を持つ国はベトナムだけではありませんが、昼休み中に横になってオフィスで昼寝をしているスタッフを見ると、日本から来た旅行者は驚くでしょう。
2.ベトナムでは学生さんもお昼寝タイムがある
昼寝の習慣が強く根付いているベトナムでは、学生さんたちにも昼寝の時間があります。
小学校から中学校まではカリキュラムの中にしっかりと昼寝の時間が組み込まれて、枕を学校側から持ってくるように言われます。
昼休みが長い分、子どもたちの登校時間はだいたい6時半~7時ぐらいと、とても早いです。それから午前10時半ごろまで勉強して、午後2時までの3時間半が昼食を含めた昼休みです。
3.ベトナム人はなぜ昼寝をするのか?
ベトナムはもともと農業が盛んで、人口の大部分が農民として生計を立てていました。何千年以上続く、農業大国です。
熱帯地域であるベトナムでは、太陽が一番高くなる正午ごろに、炎天下の中での農作業は体に負担が大きく、効率が悪いとされています。
また、午後の作業に集中し生産性を上げるために、しっかりと食事をとって、昼寝をしてエネルギーを蓄えなくてはなりません。
その結果、昼食後の昼寝は、エネルギーを取り戻し、午後に備えて体をリフレッシュするのに役立ち、一番暑い正午頃を避けることができる、完璧な解決策とされています。
ベトナムが諸外国との交流が少なかった30年前までは、企業に勤める多くのサラリーマンは帰午前11時から午後1時まで、2時間の昼休みがありました。
いったん自宅に帰って、昼食を取り、昼寝をする人も多くいました。
4.ベトナムの昼寝習慣は世界企業も認めている!
ベトナムの昼寝習慣は一種の伝統と言えるので、ベトナムでの昼食時にオフィスで寝ている人に出会ってもショックを受ける必要はありません。
「20~30分の昼寝で午後の生産性が向上する」と言われていて、科学的にも証明されています。
最近では、Google、Nike、などの企業も「パワーナップ」と称して昼寝のメリットを認識していて、奨励しています。
海外では昼寝のための防音室や「エネルギーポッド」と呼ばれる昼寝装置を整備している企業も増えています。
まとめ
昼寝が根付いていることはとてもうらやましい限りです。
労働人口の減少が危ぶまれている日本でも、生産性向上・従業員満足度向上などの効果が期待される昼寝を導入する企業が増えればと思います。