有名な絵画の中に花が良く登場するのはご存知でしょうか。
誰もが一度は聞いたことがあるような名画から、よく見たら花の美しさもすばらしい絵画だったと後から気づかされるものもあります。
今回の記事では、お花好きの視点から名画を厳選してみました。
目次
一度は鑑賞したい!知っておきたい有名な花の絵画まとめ
有名な花の絵画①「アイリスと百合のある花束」
画家 ヤン・ブユーゲル(父)1606年、油絵
花のブリューゲルと愛称されるほど、オランダの美術黄金期に大きな影響を与えた画家です。
花瓶に豪華に生けられた花を描いているが、枯れ落ちた葉なども一緒に描かれ不思議と豪華さのなかに切ない悲しみも感じられるものがあります。
この作品のつややかな花の絵は実は宗教的な意味が隠されているといいますが、華やかですばらしい技法で描かれたこの絵は意味を理解せずとも、心打つ絵画だと思います。
また、息子が模写し、父の名でいくつか絵画を発表していますが、色の雰囲気が異なります。
有名な花の絵画②「花籠」
画家 アンブロジウアス・ボッサールト(父)1614年、油絵
ヤン・ブシューゲルと同時代に活躍いた作家で、プロテスタント迫害逃れてオランダ各地を転々としていた。そのため、各地で花の絵の評価を得ることが多かったと言われています。
初期の描き方は本物のように、後期の描き方は宝石のように表現し人気を博しました。
花籠の絵は、花々の色彩に深みのある精妙な表現に透明感のある仕上がりになっており、光の反射を上手に使った作品です。
一緒に描かれている蝶なども花に勝るうつくしさで描かれています。
有名な花の絵画③「花を挿した壺」
画家 ダニエル・セーヘルス 1637年、油絵
ヤン・ブリューケル(父)弟子であったため、宗教的な意図を含めた絵を描くことが多かった。この絵は、大きなバラやチューリップが陰影によってより重みが強くみえます。
その花々に小さな虫や雫などがはかなく表現されている。技法のすばらしさを感じるが、主教的背景があると感じ取ることもできます。
有名な花の絵画④「花束」
画家 ルーランド・サーフェリー 1612年、油絵
この方もヤン・ブリューゲル(父)と同じ時代に活躍した画家です。静物画、動物画、風景画を描き、特に「楽園図」という多様な動植物が描かれた絵が人気です。
花束の絵は、アイリスが最頂部に描かれ、多種の花々昆虫・蝶などだけでなくねずみまで描かれています。
画家 ジャック・デ・ヘイン(子) 1612年、油絵
この花束の絵は細部に気を使った印象が強く、よりひとつひとつの花の見せ方に工夫がされています。
卓越した技術あっての表現であることは、絵には素人の花好きにもわかるほどです。
画家 アンブロジウス・ボッサールト(父) 1618年、油絵
窓枠に置かれた花瓶に咲き誇る花に目がいく前に、不思議と背景の景色をみてしまいます。
上記で紹介してきた絵画は、周辺の色が濃いものが多かったため、明るい空間に開かれた印象をもちます。
花自体もひとつひとつ明るい色で描かれていて、豪華さも感じます。
有名な花の絵画⑤「花瓶の花々」
画家 ラッヘル・リューイス 1685年、油絵
美術黄金期オランダの後期を支えた女性画家のひとりです。
この絵は真正面から、スポットライトがあたっているような印象があり、茎や花の動きがあります。
昆虫などの生き物や果物からは、リアルさがより感じるほどの描き方です。
有名な花の絵画⑥「花と果実」
画家 アンリ・ファンタン ラトゥール 1865年 油絵
18世紀のフランスで、活躍した作家のひとりです。半透明の絵の具で、果実と花を描き、独特なニュアンスで表現されている作品です。
豊かさとうつくしさの共演がうかがえる作品になっています。
有名な花の絵画⑦「春の花束」
画家 ピエール・オーギュスト・ルノワール 1866年 油絵
ルノワールの世界、雰囲気がこの絵を通して包み込まれるように感じる作品です。
花瓶に描かれている青い絵と、花々すべての色彩のマッチが温和な気持ちにさせてくれます。
光と影のコントラストの中で、生きる喜びを感じ取れる絵画を描くのは、さすがルノワールと思ってしまう作品です。
有名な花の絵画⑧「ひまわり」
画家 フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ
知らない人がいないのでは?と思うほど有名な絵画です。
力強い黄色で描かれていますが、ゴッホ自身は「ひまわりはすぐにしおれてしまう」という言葉を残しているそうです。
実際にはどんなひまわりを見て描いたかはわかりませんが、ゴッホ自身の太陽の花を生命力の色黄色で描いたこの絵は、圧倒される力を持っています。
有名な花の絵⑨「ガラス瓶の花とニッチのコオロギ」
レイチェル・ルイッシュは、オランダ黄金時代の最も有名な女性画家であり、花の絵を別の次元にまで高めました。彼女は独自のスタイルを確立し、60年間にわたって植物画を描き続けます。
彼女は伝統にとらわれず、花束を非対称の構図で描くことで、よりダイナミックな作品を生み出しました。
一方で、花びらの一枚一枚が丁寧に描かれており、色鮮やかな花を表現することに長けていたため、当時の花の画家の中でも群を抜いていました。
有名な花の絵⑩「ガラス瓶の花」(1814年頃)
イギリスのロマン派画家ジョン・コンスタブルは、自宅の近くを描いた風景画で有名です。
ガラス瓶の花は、コンスタブルの娘がアトリエを博物館に寄贈したため、現在はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に所蔵されています。
暗く落ち着いた色調の中に、ポップな赤や黄色の花がバランスよく配置され、明暗のコントラストでドラマを生み出しています。
まだまだある!有名な花の絵たち
広重の「ハイビスカス」(1845年頃)
日本の文化において、花は歴史的に重要な意味を持っています。浮世絵師の広重が描いたハイビスカスは、その大胆なオレンジ色が画面から飛び出してくるような見事な作品です。
花言葉によれば、ハイビスカスの花言葉は「優しい」。この花は、来客を迎える社会的な習慣として贈られるものです。
エドゥアール・マネの「花束」(1882年)
影響力のある画家エドゥアール・マネは、花を愛しており、頻繁に花を描きました。マネは人生の最後の半年間も、花の静物画だけを描いていたほど、花の絵を大切にしています。
クリスティーズによると、マネはこれらの作品を友人へのささやかな贈り物としてよく使っていいます。
グスタフ・クリムトの「花の庭」(1905年)
グスタフ・クリムトは、リッツェルベルグでの夏の休暇中に見た風景に魅せられ、花畑を描いた一連の作品は、彼の黄金期の作品の中でも重要なものです。
「花の庭」は、クリムトの風景画の中でも最も優れた作品のひとつとされており、フレームからこぼれ落ちるように咲き乱れる花々が描かれています。
2017年のオークションで5,930万ドルで落札されたこの作品は、リアリズムに頼ることなく、庭の素朴な魅力をたたえています。
最後に
いかがでしたでしょうか。花の絵画をみていくと、ただ花を描くというだけではなくいろいろな意味が込められていることを再認識しました。
画家の思いだけでなく、宗教的背景、生きる喜びなど想像できないほど絵画には思いが詰まっているものだと再認識しました。
今回は、花を見ても楽しい絵画を中心に選んでみました。生のお花もいいですが、絵画に触れるのもすばらしい時間になりますね。