インドネシアやマレーシアの伝統工芸!バティックについて簡単紹介

バティック

インドネシアやマレーシアを中心とした東南アジアで見られるバティックは、ろうけつで染められた布地のことです。

さまざまな製品に加工され、お土産としても大変人気のあるものです。

今回は世界無形文化遺産にも指定されているバティックについてご紹介します。

1.インドネシア・マレーシアのバティックの概要や歴史

バティックという言葉は、ジャワ語のambatiktritikという言葉から作られたと考えられています。

それぞれの単語の接尾語であるtikは「小さな点を作る」という意味になり、現在、マレーシアとインドネシアのバティック産業は、手描きバティックとバティックスタンプの2種類の生産技術が主流となっています。

インドネシアにおけるバティックの成立は、1294年にマジャパヒト王国のウィジャヤ王子が統治して以来、1309年まで700年にわたるユニークな歴史を持っているおり、学者たちは、手描きバティックは当初、ジャワの王族が着用するためのものであったと推測しています。

1840年代にバティックスタンプ技法が開発され、手描きバティック技法に比べ生産量が多いことから、バティック製作に革命をもたらしました。

20世紀初頭、伝統的な染料は次第にイギリスやドイツからの化学染料に取って代わられ、合成染料は布地への浸透性が良いため、染色工程の時間を短縮することができます。

バティックスタンプと合成染料の組み合わせは生産ペースを速め、1920年代のインドネシア・バティック産業の好景気につながったと言われています。

1-1.アジア諸国のバティックがある地域

バティック(Batik)は、インドネシア、マレーシアで多く見られるろうけつ染め布地です。

インド、スリランカ、イラン、タイなどの周辺国でも見られますが、インドネシア産、中でも特にジャワ島のものが有名です。

そのため、バティックは「ジャワ更紗」と呼ばれることもあります。

インドネシアのバティックは、2009年にユネスコの世界無形文化遺産に認定されています。

1-2.バティックの制作工程

ろうけつ染めであるバティックの制作工程は次のような手順になります。

①えんぴつで白い布に下絵を描く。

②輪郭線や染めたくない部分にロウ(蝋)を置く。

③布を染める。

④熱湯の中でロウを溶かすとロウ(蝋)を置いた部分が白く残る。

これが1色を染める工程です。

複数の色で染めたい場合は、再び染めたくない部分にロウを置き、染める、ロウを溶かすという作業を色の数だけ繰り返します。

緻密な模様のものは制作するのに数か月、中には半年以上かかるものもあるそうです。

1-3.伝統工芸バティックが使われた製品

染め上げられたバティックの生地は、服やサロン(腰巻き)などの他、スカーフ、ハンカチなどのファッション小物、財布やテーブルライナーなど、さまざまな製品に使われます。

現地の土産物店に行けば、バティックを使った品を見つけ出すことは容易です。

2.インドネシア・マレーシアバティックの歴史を振り返る

2-1.バティックの歴史「起源と広がり」

ろうけつ染め自体は約3000年前のソポタミアの都市を起源とし、その後西アフリカやアジア各地に広まりました。

インドネシアでは8世紀に流行し、その後の王朝で宮廷服として使われました。庶民の間にバティックが普及したのは19世紀に入ってからになります。

マレーシアへは、まだ国境が定かでなかった頃、インドネシアエリアから伝わったと考えられています。

インドネシアでは太平洋戦争中に日本が援助をした関係から、桜や菊など日本風の模様も見られます。

2-2.バティックの歴史「現代のバティック」

バティックは正装とされ、少し前までは結婚式や学会などフォーマルな場で多く着用されてきました。

正装であるため、色や柄は比較的地味でしたが、現在ではモダンなものも多く登場し、バティックはより気軽に着用されています。

インドネシアでは公務員は毎週金曜日にバティック(または地方の伝統的な衣装)を着ることが義務付けられています。

民間企業でもそれに準じている所が多いので、金曜にはバティックを着用した人を多く目にします。

3.インドネシア・マレーシアバティックの伝統手法とは

バティックはろうけつ染めなので、作業工程のうち布にロウを乗せる作業が重要になります。

それにはいくつかの方法があります。

3-1.バティックの手法「手描き
」

まずは手描きです。

先端から細くロウが出てくる「チャンティン」という道具を使って手作業で図柄を描いていきます。

布の両面に描く場合もあります。

3-2.バティックの手法「型押し」

2つ目は銅製のスタンプを使って模様を布に押し付けていく方法です。きれいに押すには習熟が必要ですが、効率的に模様を描くことができるので値段は安くなります。

3-3.バティックの手法「組み合わせ」

3つ目は、スタンプを押したあと、細かい部分を手描きで加える、2つの方法を組み合わせる手法です。

3-4.バティックの手法「プリント」

そして4つ目はスクリーン・プリントでバティック調のモチーフをプリントするものです。

これは実際にロウを乗せるわけではありませんが、安価に数多くのバティック風の模様が作れるので重宝されています。

4.インドネシアとマレーシアのバティックの違いについて

4-1.インドネシアとマレーシアのバティックの違い「色」

インドネシアのバティックは比較的地味な渋い色が多く見られます。

一方、マレーシアのバティックは色鮮やかで、パステルカラーなども用いられます。

4-2.インドネシアとマレーシアのバティックの違い「模様」

インドネシアのバティックは植物の葉や蔓、緻密な幾何学模様などが多用されます。

一方、マレーシアのものは蘭やハイビスカスなどの花、蝶、果物などモダンな柄が大きく描かれている製品が多く見られます。

また、マレーシアでは動物の模様はほとんど見られませんが、これは宗教的な理由からだとされています。

4-3.インドネシアとマレーシアのバティックの違い「素材」

インドネシアのバティックは木綿が素材として多く使われますが、マレーシアでは化学繊維やシルクが多いようです。

まとめ

以上、バティックについてご紹介しました。

布地から製品になったものまで、バティックはお土産にもとても人気です。

インドネシアやマレーシアに行ったらバティックに注目して町歩きやお土産探しをしてみてはいかがでしょうか。